阿見町の大玉スイカがとびきりスイートな理由。




スイカ農家 島田辰男さん

(阿見町認定農業者連絡協議会 令和4年度会長)



「おいしいスイカをどうやって選んだらいいかって? 間違いなく言えるのは、生産者を見て買うことだな。誰がつくったのかわからないものじゃなくてさ」



茨城県随一のスイカの名産地として知られる阿見町で、スイカ栽培歴40年以上。島田辰男さんのつくるスイカは、でっかくて甘くて、それだけでなく、不思議なくらい優しい味がする。連日の収穫や農作業で真っ黒に日焼けした顔で、にっこり笑うと目がなくなっちゃう。そんな島田さんの笑顔が脳裏に浮かぶような、味。そういう風に、作った人の顔を思い浮かべながら味わえるって素敵なことだと思う。



”島田辰男さん。スイカ以外にトウモロコシ栽培の名人でもある!”




スイカづくり40年以上の大ベテラン!


島田さんは生まれも育ちも阿見町。農家だったお父さんの後を継いで、40年以上前から農業に携わっている。


「スイカづくりは親父の代からですね。このへん一帯は、昔っからスイカ栽培が盛ん。“稲敷台地”といって、周辺の平地よりもちょっとだけ標高が高くなってる。水が少ないから田んぼはできないんで、昔からの畑作地帯です。あと、スイカは水はけがいい土で育てる方がいいからね。関東ローム層の赤土というのも、スイカを育てるのにはすごくいいんだ」




”島田さんの畑の様子。目の前のタンクには井戸水が入っていて、畑の水やりにも井戸水を使っている。”




”島田さんが農業を始めた時に買った三菱キャンター。40年以上ずっと乗ってる相棒。”




島田さんの言うように、阿見町は古くからスイカ栽培が盛んな場所。町としては50年以上の栽培の歴史がある。そのためなのか、阿見町には島田さんをはじめ腕利きのスイカ農家が集まり切磋琢磨する環境ができあがっている。



「すごいですよ、このへんの農家は。技術もあるしよく働く。とにかくすごい人ばっかりなんだ。だからもちろん、農家同士で技術のことなんかの情報交換はあるけどね。本音は言わないよ。みんなせこいからな(笑)。それよりも、人の畑を通りがかりにこっそり見るんだ。なるほどこの手はあるなって。まわりの人の畑を見て勉強するんです」




朝4時から収穫する、瑞々しい朝採りスイカ


そんな島田さんのスイカには「茨城県特別栽培農産物認証」のステッカーが貼られている。これは、化学肥料や農薬を削減してつくられた農産物を認証する茨城県の制度で、環境にやさしい農業の証でもある。島田さんの場合は、堆肥や米ぬかなどの有機質肥料が中心で、害虫対策にも工夫をこらし農薬もほんのわずかに抑えている。一方、「朝採り」ならではの瑞々しいおいしさにこだわって、スイカの収穫時期には朝早くから畑に出て収穫作業を行っている。

そうしたこだわりを持ちながら40年以上もスイカを作り続けてもなお、勉強することも発見することもたくさんあると島田さんは言う。




”収穫間近の大玉スイカ。”



”島田さんのスイカ、驚くほどデカい!”



「技術も資材もどんどん進化しているから。40年前のスイカづくりがどうだったかっていうと、俺が知ってるのはね、種をまいてそのまま育ててたような感じだったよな。そこから竹でトンネルを作るようになって、でも風が吹くと飛ばされちゃって。今はパイプでしっかりしたトンネルを作るから普通の風なら全然やられない。あとは、昔は一つひとつ手でやってた交配をミツバチにやってもらうようになった。最初はちゃんと働くのか信用なんねぇなと思ってましたけどね」




”スイカ割りは上手ですか?と聞いたら「せっかく作ったの割るの、もったいねぇべ?」と言われた。確かに。”




今、推しの品種は「羅皇ザ・スウィート」

ところで、おいしいスイカの条件って何だろう。甘ければいい? それだけじゃない。島田さんが甘さとともにこだわっているのが「シャリ感」だ。シャリ感とは、スイカ特有のあのシャクシャクとした歯触りのことで、甘みや香りとともにおいしさの決め手となる重要な要素だ。

「スイカもどんどん新しい品種が出てきています。最近は小玉でもシャリ感が出せる品種が出てるけど、やっぱり俺は大玉のシャリ感が好きで大玉ばかりつくってるよ。大玉の新しい品種もいろいろやってみてるんだけど、最近、俺の中で暫定1位なのは“羅皇(らおう)ザ・スウィート”。糖度もそうだけど、なんといってもシャリ感がいいんだ」




”こちらが羅皇ザ・スウィート。刃渡りが40cm近くもあるスイカ専用包丁で、入刀!”



”羅皇といういかつい名前に反して、すっきりとして、優しい甘さ。そして島田さんこだわりのしゃり感が心地よく、いくらでも食べられる飽きない味わい。”



では、甘くておいしいスイカの見極め方は?

「でかい方が甘いのは確かだよね。その分、養分をいっぱい吸ってるわけだから。あとは、黒い線が濃い方がいいという人もいるけど、それも一理ある。完熟してくると線が濃くなるから。でも線の濃さに関しては、甘いかどうかとは関係ない。単に完熟している=中が赤くなってることがわかるだけだからね。つまり見た目だけじゃ甘いかどうか、おいしいかどうかは、本当のところはわかんねぇよ。だから生産者を見て買うのが一番確実。一度食べてうまいと思ったら、その人のを買えばいい。スーパーは便利だけど誰がつくったものかはわからないでしょ? 生産者から直接だったり、生産者がわかる店で買うのが間違いないね。阿見の農家のスイカがいいと思うよ(笑)」

というわけで皆さま、阿見町のスイカをよろしくお願いします。




”つまっているスイカの音もお聞き逃しなく!”

文/根本美保子(ターバン2号)  写真&動画/Masa Hamanoi

<島田さんのスイカが買える場所>

●JA水郷つくば 農産物直売所 愛菜園

茨城県稲敷郡阿見町若栗1901-1

電話:029-887-8395

https://life.ja-group.jp/farm/market/detail?id=441

●農産物直売所 大きなかぶ

茨城県稲敷郡阿見町小池2157-24

電話:029-846-6115

https://daichi-ami.com



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