竹にまつわるさまざまなこと、課題と恵みと。
- aminodaichi
- 5月19日
- 読了時間: 8分

“でっかいタケノコ!”
春の味覚といえばタケノコ!
家族連れや大学生、地域の方々で竹林整備とたけのこ掘りイベントを同時に開催すると聞きました。なんとも楽しそう!
イベント当日、僕もこどもたちを連れて春の阿見町、君島地区を訪れました。
阿見の中心街から少し車を走らせると穏やかな里山の風景が広がってきます。
葉桜や出始めの新緑がなんとも美しいのです。
集合場所にはたくさんの方々が集まってきました。皆さんタケノコ掘りたくてうずうずしている様子!
竹にまつわるお話は竹林整備のメンバーで認定農業者でもある浅野さんにいろいろと伺いました。
君島のたけのこ、実はすごい!
"阿見町君島地区はタケノコ、竹林で有名だそうです。その歴史は実に凄い!エピソードをお話しいただきました。”
50,60年前かなあ。そのころから君島のタケノコを東京や宮城のご縁ある方々に送っていたという話は親戚から聞いていたなあ。
こっちの方はタケノコはあるけれども、向こうはないからね。

“朝一でタケノコを探します”
なんでこの辺でタケノコを作るようになったかというと、1月から一番競りで行かれるのはタケノコしかなかったんだよな、それが始まり。
“浅野さんが生まれる前からもう君島ではタケノコが有名だったという…長い歴史がありますね、話に聞くと皇室にもタケノコを献上したんだとか?”
平成9年に医療大学が開校する時にね、皇室の方が阿見町にいらしたことがあって、で皆さんに振る舞う食事を作るというからタケノコを15本ほどお届けしたっていうことがあったよ!
「みんな同じくらいのやつを揃えて出してください!」と、言われてな~。
その時は阿見町いろいろなところから自慢の食材を集めたのよ、タケノコはうちしかなかったからね。
”阿見町の自慢の食材. . .きっと皇室の方々にも美味しく召し上がっていただけたはずですね!”
竹林のこと

“風に涼やかに揺れる竹林”
“ここの竹林の面積ってどのくらいあるんですか?”
広いけどね、これでも随分減ったんだわ、というか減らしてるの。タケノコを掘ってる時間もなくなっちゃってね。
田んぼをやって、でそっちが大きくなったらやれなくなっちゃうんだよな. . .。

“タケノコ、み〜つけた!”
ちょうど忙しい時期が被ってしまうのもあってね、両方一緒にやるってのが難しい。
当時は朝5時からタケノコ掘りを始めてね、午後の2時…3時頃までやって。
それからそれのもと(根元)をきちんと切って、かごに入れて、農協に出して. . .。
でもみんな高齢化でやる人いなくなっちゃった。
だから、町の方に連絡して、竹林整備って形にしていったんだけれどね。
そこから町とかいろんな関係機関が入って、今の竹林整備組合になっていったの。

“浅野さんが良さそうなタケノコを見つけてくれました!”
そうそう広さだったね、今、うちでは3反歩(約3,000㎡)くらいかな、向こう切っちゃったからな。
当時は1日200kgっていう日が何日もあったよ。毎日タケノコ掘ってさ。
“え!?200kgですか!?”
そうだよ200kg~。俺らはタケノコ掘るけど、奥さんがお嫁に来て、タケノコ掘れないからさ、毎日一輪車とか籠で掘ったタケノコをどんどん運んでね。
ぼこぼこぼこぼこ、そこらへんから掘ってきたやつを置いていくわけ。奥さんが一輪車や籠で持っていくうちにそっちゃこっちゃに置いていくわけよ。
そうするとね、次の日みつかって怒られているわけ、思い出すね~。笑
20年、いや30年くらいの話だなあ。
そうそう、そんでうちの竹林は綺麗でしょう?
よく整備されてる竹林だよ、特別なことはやってないけどな。
自慢じゃないけど、「カンベエのタケノコ」って有名は有名だったんだ、柔らかくて。
ちなみにカンベエはうちの屋号ね。

“美味しいとこが折れないように丁寧に掘ります。”
タケノコの食べごろはいつ頃なんですか?
だいたい4月18日ごろは真っ盛りになるな。普通は4月の始めから終わりまで。
始まりは今年は遅かった。本当に今年は裏年(豊作の翌年に収穫量が減る現象)だね。
出てくるのは遅れて、最後のアガリ(収穫期)は早い。
あっという間に終わっちゃうね。
当時を思い出すと、この時期になると子供たちがね、朝起きっと竹山見つけて棒を刺して、出てるよ出てるよ~って目印につけてね。ここらへんの子どもらはみんなそうやって遊んでいたよ。

“中には可愛いタケノコも”

“大きいのは根っこもすごい、浅野さんが慣れた手つきで根っこを切り落としてくれます。”
タケノコの美味しい食べ方というのは、煮物ですか?
もちろん煮物もするし、今だったら一番は酢豚だな、酢豚。イマドキだよ~。
今一番おいしい時に。掘って茹でてすぐに料理する。
採れた当日だと、あく抜きとかもいらないからね。
例えば今日採るでしょ、下を切るでしょ、それを一晩おいておくと、水がバーッと出てるから。それがね旨味なんだよ。だから日にちが経ってしまっているものはえぐみが出てくる。

“みずみずしい!掘りたてです!”
“きちんと整備されているところのタケノコと、荒れているところのタケノコでは味は違うんですか?”
よそのところの食べたことないから分からないけど、違うかもしれないね。
荒れてるところはだいたい根っこがいっぱいあって密集しすぎて掘れないでしょう。
うちは何年かにいっぺん古いのから根っこ切って処分してる。だからガラガラ。
傘さして通れるくらいにするんだよって誰かが言ったけども、それくらいにしてあげる。
毎年毎年切ってるからね、こうやって保たれているわけよ。
“竹林には肥料などはあげるんですか?”
やらないよ~。そんなことやんなくても、上からほら葉っぱが冬に落ちてくる。
それからぬかやもみ殻をみんな撒くのよ、こうやっておけば草も出ない。
もみ殻を撒いてると掘るときにふわふわだからとっても楽なの。
だから土掘るの柔らかったでしょ?小さい子だってうまく掘っていくよ~。
あとはある程度太陽の光線が当たるように、頭のてっぺんを切る。大きくなってきたのを揺すると、ぼてっと上から落ちてくる。そういう工夫は昔からやってるわな。
いまこの…竹林が今抱える問題っていうのはどんなことですか?
浅野さんのご家族に今ある課題をお伺いしました。
竹林は何もしないと荒れてっちゃう。毎年、毎年手入れをしないといけない。
例えばグリーンツーリズムを港区とやっていたけど、だんだんと受け入れ側の方が高齢化してきて状況も変わってきた。
そこで、グリーンツーリズムでできることって農産物の収穫体験だけじゃないよねって気づきがあった。
だったら地域の集落の点検をみんなでやりませんか?って、今は空き家と高齢化と竹林整備が必要だからね。
地域の課題を東京の人たちと大学とグリーンツーリズムで一緒にやりましょうっていうのがこの取り組みの始まり、循環型社会の形成のひとつとしてね。
綺麗にしたところを、荒れないようにするっていう作業の一環で、収穫体験もできますよ!っていう切り口が良いかなって思う、皆さんにも楽しく参加してもらえるね。
”竹林があることによって、いいことってあるんですか?”
そりゃあるよ!季節を感じることができる!
そろそろタケノコ出るなとか、ウドが出てくるな~とか、そういう自然の恵みがある。
少しでも竹を間引きながら保全していって、春にはタケノコをみんなで楽しく掘って。そういう土地利用の仕方をするっていうことで、土地を維持をしていくのが大切かなって思うよ。

“イベントにはたくさんの方々が参加していました”
今考えてるのは、うちの親父(浅野さん)が竹箒を作ったりするのもいいかなと。
昔、竹箒はいくらでもあった、そして本当にいい品だったんだ。
手仕事っていうのかな。そういうことで、地域でいろんなことをやってみたい人が増えれば良いよね。

“竹チップは庭や畑に巻いたり、堆肥にしたり、いろいろ使えます!”
竹チップや、竹チップを堆肥にして小学校や幼稚園に配るとか、いくらでも竹チップなどはあるからね。
タケノコをもっと食べたい人はね、上長地区でやってる「たけのこほっぺ」のたけのこ掘りとかに参加するのもいいよ!
"なるほど!竹林整備など地域の課題を楽しく参加できる仕組みを作り、持続的に活動していくことがまずは大切なんですね。
楽しいからこそみんなが集まってくる。当日の竹林整備イベントには本当にたくさんの方々、こどもから大人まで様々な年代、様々な場所から参加されていたのも印象的でした。"

“作業前に皆さんと!”
こどもたちが楽しそうにタケノコあった!って掘っている横で大学生がご自身の研究のため、先生とリサーチされていたのも素敵な風景でした。
その日に掘ったタケノコを帰ってすぐに茹でていただきました。
甘くって、筍の香りが柔らかくって、なんだか元気になってくる。
春の恵みをたくさんいただいた一日でした。
竹林のさまざまな可能性と上手く付き合い、そしてその恵みを次世代に繋いでいく。
僕自身も取り組みに参加し続けていきたいと感じました。

”浅野さんありがとうございました!”
文章・写真・編集/ Masa Hamanoi
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