新規就農者さんを訪ねて
- 16 時間前
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畑や田んぼを取材していると、「実は数年前に農業を始めたばかりなんです。」という方に出会うことがあります。
今回訪ねたのは、阿見町でトマト、レンコン、ネギを主に育てる3人の新規就農者さん達。
会社員から農業の世界へ飛び込んだ方、研修を経て独立した方、それぞれ歩んできた道は違います。
それでも共通していたのは、作物を育てる喜びと、自然相手の仕事の難しさでした。
畑に吹く風を感じながらお話を伺うと、農業のことだけでなく、人とのつながりや暮らし方についても考えさせられました。
今回は、そんな3人の新規就農者さんをご紹介します!
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“平岩さん、よろしくお願いします!”
ネギとともに、新しい暮らしをつくる平岩さん
阿見町でネギやズッキーニ、ブロッコリーを栽培する平岩さんを訪ねました。
畑に立ちながらお話を伺うと、新規就農ならではの苦労や、農業の魅力についてたくさん聞かせてくださいました。
地方で働きたいと思ったことが始まり
平岩さんはもともと建築関係の仕事をしていました。
「前職は建築の図面を書いていました。」
農業を始めるきっかけになったのは、都会を離れて静かな場所で働きたいと思ったことだったそうです。
埼玉県深谷市のネギ農家で働き始めたことが、農業との最初の出会いでした。

“綺麗にネギが並んでいます”
なぜネギだったのですか?
「自分の性格に合っていたんです。」
そう笑う平岩さん。
ネギはトマトやナスのように繊細な野菜とは少し違います。多少虫に食われても新しい葉が出てくる強さがあります。そして収穫のタイミングも比較的自由が利く。
「たくさん作って、たくさん積んで、皮をむいて出荷する。そういう感じが自分には合っています。」
シンプルな言葉の中に、平岩さんらしい農業との向き合い方が見えました。
真夏のブロッコリーとの戦い
現在はネギを中心に、秋冬にはブロッコリーも栽培しています。
実はブロッコリー栽培で最も大変なのは真夏なのだそうです。
7月に種をまき、8月末の暑さの中で植え付けを行います。
「水やりが1時間遅れただけで全滅することもあります。」
植えた直後から苗が枯れ始めることもあり、1週間ほど毎日水を与え続けるのだそうです。
取材した日も暑い一日でしたが、その言葉を聞くと真夏の畑の厳しさが想像できました。
独立して初めて分かったこと
農業法人で働いていた経験があっても、独立すると全く違ったそうです。
「何もかも分からなかったですね。」
種まきの時期、肥料の種類、必要な機械、修理を頼む業者。独立すると全て自分で判断しなければなりません。
「無駄な動きが9割くらいありました。」そう振り返ります。

“ズッキーニ、たくさんなりそうです!”
水がないところから始まった
就農当初、一番苦労したのは水でした。
畑に水源がなく、最初は10分ほど離れた場所から500リットルのタンクで水を運んでいたそうです。
その後に必要だったのは、井戸を掘る工事、電気工事、作業小屋、ネギの皮むき機と、
設備を揃えるだけでも大きな投資が必要でした。
「2年目には本当に廃業するかもしれないと思いました。」
その時に支えになったのが阿見町の新規就農支援制度だったそうです。
支援があったから続けられた
「助成金がなかったら今は続けていられなかったかも、、、。」阿見町では新規就農者向けに支援制度があり、平岩さんも活用したそうです。
農業は収穫までに時間がかかります。始めたばかりの時期は収入より支出の方が多いことも珍しくありません。
そうした中での支援は大きな支えになったと話してくれました。
農業を始めて良かったこと
農業を始めて良かったことを尋ねると、少し考えてから答えてくれました。
「毎日緑を見ていることですかね。」
太陽の光を浴びながら体を動かし、自然の中で働く。
それが心や体の健康にもつながっているそうです。
もちろん作物がうまく育たない時は落ち込むこともあります。
それでも畑に立ち続ける理由がそこにはあるように感じました。

“これからもっと太くなるネギです"
これから農業を始める人へ
最後に、新規就農を目指す人へのメッセージをお願いしました。
「めげないことですね。」
農業は思い通りにならないことの連続です。天候。病気。資材価格の高騰。
予想もしない出来事が次々に起こります。
だからこそ、「数年後にこうなりたい!を考えることが大事。」と平岩さんは言います。
目の前の失敗だけを見るのではなく、その先の未来を見る。
その言葉は、農業だけでなくさまざまな挑戦にも通じるように感じました。
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レンコンと共に歩む大吉はすね農園さん

"綺麗に咲くハスの花"
霞ヶ浦周辺は全国有数のレンコンの産地です。
お話を伺ったのは、阿見町でレンコンを栽培する大吉はすね農園さん。
レンコン栽培を始めたきっかけや、就農までの道のりについて聞いてみました。
農業を始めたきっかけ
「もともとは土浦出身なんです。」
レンコン栽培を始める前は会社員として働いていたという大吉はすね農園さん。
会社員を辞めて農業をやってみたい、そして数ある農業の中から選んだのはレンコン
でした。
地元、土浦がレンコンの産地だったことも理由のひとつ。図書館に通いながら農業について調べる中で、「体は大変だけど、きちんと販売できれば生活も成り立つ。やるならやはりレンコンかなと思ったんです。」と話してくれました。
独立までの道のり
しかし、就農までの道のりは決して簡単ではありませんでした。
農地探しや研修先探しに苦労しながらも、縁があって研修先と出会います。
「無理せずやってみて、駄目だったら辞めてもいい。」
そんな言葉に背中を押されて農業の世界へ入りました。
その後独立し、現在は奥様にも出荷作業を手伝ってもらいながら経営しています。

“蓮根の状態を探ります”
レンコン栽培の難しさ
レンコン栽培は植えれば終わりではありません。
水管理、草刈り、害虫対策。さらにカモや魚による被害もあるそうです。
「大変なこと、、、、全部ですね。」
思わず笑いながらそう答えてくれました。
今年は雨が多く、田んぼに魚が入り込んで植え付けたレンコンが浮いてしまう被害もあったそうです。一方で、雨が少なすぎても困ります。
「適度に降ってくれるくらいが一番ありがたいですね。」自然との付き合い方の難しさを感じます。
人とのつながりが農業を支える
新規就農について尋ねると、「とにかくしっかり研修した方がいい。」という言葉が返ってきました。
農業技術だけではなく、農地や設備、人とのつながりも大切だからです。
「僕は運が良かったと思います。」
研修先との出会いや農地との縁に感謝しながら、今も少しずつ規模を広げています。

”広々として気持ちの良い圃場”
これから
取材した6月のレンコン畑では、大きな葉が風に揺れていました。
収穫は8月後半から始まる予定。
「例年より成長が早いかもしれません。」
そう話す大吉はすね農園さんの表情からは、今年の出来への期待が感じられました。
夏の終わりから収穫されるレンコン。
その一節一節の向こうには、日々畑を見回り、水を管理し、自然と向き合う時間が積
み重なっています。
▶︎大吉はすね農園さんの野菜が買える場所 カスミ中高津店
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食べものづくりが好き、山崎さん

“山崎さん、よろしくお願いします!”
阿見町でキャベツやトウモロコシなどを栽培する山崎さんを訪ねました。
農業を始めたきっかけを伺うと、最初に返ってきたのは「ものづくりが好き」という
言葉でした。
「一から作っていくのが面白いんです。成果が目に見えてわかるじゃないですか。味
もそうですけど、見て“いいものができたな”と思えるところがいいですね。」
作物が育ち、収穫され、お客さんのもとへ届く。その手応えが、農業の大きな魅力な
のだそうです。
自分に合う作物を探して
現在はトウモロコシ、キャベツ、玉ねぎなど、季節に合わせてさまざまな野菜を育て
ています。
中でもトウモロコシは、お客さんからの反応が印象に残っているそうです。
「生協の方がアンケートを持ってきてくれたんです。“美味しかった”“こんなの初めて
食べました”って書いてあって。それは嬉しかったですね。」
トウモロコシは、品種によって育つ日数や背丈も変わります。育てている品種は比較
的背が低く、風で倒れにくいのが特徴。甘みもあり、大きく育つそうです。
「1本からいくつか実は出るんですけど、自分は1個取りです。1個に集中した方が大き
くなるし、味も良くなると思います。」
収量だけを考えるのではなく、おいしさや大きさを見ながら育て方を選んでいるのが
伝わってきます。

“新鮮なトウモロコシ!”
朝採れを届けるために
トウモロコシの収穫は、朝が勝負です。
「朝採れ企画だと、朝7時までに出荷しないといけないんです。」
注文が多い日には、深夜2時頃からヘッドライトをつけて収穫することもあるそうで
す。収穫したトウモロコシは、その日のうちに店頭へ。採ってから数時間で届く鮮度
が魅力です。
「採って2、3時間で届くのと、半日や1日かかるのでは違いますよね。」
新鮮なものをお客さんに届けるために、早朝から畑に立つ日々が続きます。

“広々とした山崎さんの畑”
農地を自分で探す
現在使っている農地は、自宅周辺の土地に加え、多くが借りている畑です。
後継者が少なく、使われていない農地も増えているそうです。そうした場所を見つ
け、自分で声をかけながら少しずつ畑を広げてきました。
農業は作物を育てるだけでなく、土地や人とのつながりをつくっていく仕事でもある
のだと感じます。
難しいのは段取り
農業をしていて大変なことを聞くと、「作業の段取りですね」と答えてくれました。
トウモロコシの収穫をしながら、玉ねぎの管理もある。草刈りも必要で、雨が降れば
病気や腐りの心配も出てくる。
「種類が多いので、順番を決めるのが難しいですね。」
午前中は収穫や出荷の調整、午後は畑の管理。作物ごとに必要な作業が違うため、天
気や成長具合を見ながら一日の動きを組み立てていきます。
6月は特に忙しい時期。収穫と管理が重なり、朝から夕方まで畑での作業が続きます。
農業を始めてよかったこと
現実的な難しさも話しながら、それでも畑に立つ姿からは、作ることへの楽しさが伝
わってきました。
「やっぱり成果が見えることですね。」
苦労して育てた作物を直売所や生協に出し、お客さんから「美味しかった」と声が届
く。その瞬間に大きな達成感があるそうです。
農業を始めて現在2年目。研修を経て独立し、今は少しずつ作物や販路を広げていま
す。
一方で、初期投資や資金面の大変さもあります。
「今は物価も高いので、貯金がないといきなり大きくはできないですね。」

“今年のトウモロコシも出来が良さそうです!”
新規就農を考えている人へのアドバイスを伺うと、病気や虫への対応を知っておくこ
とが大切だと話してくれました。
「この時期にこの病気が出やすいとか、虫が出るとか、それが分からないと難しいで
す。」
農薬には使える回数が決まっているため、早めの判断が必要になります。雨の後、湿
気が残り、気温が上がるタイミングなど、病気が出やすい条件を見ながら対策するそ
うです。知ることで対策できて被害を減らすことができますね。
さらに、アライグマなどの獣害もあります。
「食べ頃になると来るんですよ。ピンポイントで。」
自然相手の仕事は、思い通りにならないことも多い。それでも、畑を見回り、作物の
変化を見ながら、少しずつ手を入れていく。
取材中、トウモロコシの葉が風に揺れていました。朝早く収穫された一本が、数時間
後には誰かの食卓に並ぶ。誰かが甘~いトウモロコシで笑顔になる。そんなことを想
像できるのも農業の魅力なのかもしれませんね!
▶︎山崎さんの野菜が買える場所 愛菜園、大きなかぶ
・写真・文章・編集/ Masa Hamanoi (noi meets)




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