“日差しを浴びて輝く大葉たち!”
梅雨を迎え畑や田んぼも美しく、緑もより深まる阿見町の風景。
今回は阿見町で有機農業を営むひさまつ農園さんに向かいました。
少し迷いながらひさまつさんの畑に向かう小道を曲がった時、そこには小さなアドベンチャーが待ち受けていた!
梅雨のぬかるみにグルグルと車の足を取られながらドライバーさんはヒヤヒヤ、僕は助手席でこれからどんな有機農業のお話が聞けるのかと内心ワクワクでした!
小道をぬけ、ひさまつ農園さんでは色とりどりの花たちが僕らを出迎えてくれました。
“朝露に濡れて美しい”
阿見町で有機農業を始めて何年になりますか?
有機で始めようと思ったきっかけを教えてください。
20年になるかな。正式にJAS認証とったのが始まって3年目の頃だよ。
JAS認証をとるのにもいろいろあってね、約3年かかった。
有機ではじめたきっけはね、農薬が嫌いだったから。
農薬を使わなくてもいい野菜ができるんだろうと思ってね。
前職で取材をする仕事をしていて、環境問題とか色々な話を聞くことが多かった。
当時「有機」という言葉はなかったんだけど、「無農薬」栽培で作物栽培に成功した例を取材させてもらったことがあってね。
そこではまっちゃってね〜(笑)
土日は毎週手伝いに行かせてもらってたんだ。
ひさまつさんは少し昔の話をゆっくりと思い出しながら話してくれました。
“畑を歩きながらゆっくりとお話を伺いました。”
大葉の他には何を作っていますか?
大葉の他には、トマト、ネギ、ナス、オクラ、ニラ、パセリなどいろいろとやっているよ。今回の大雨のように、天候に左右される農業ではある程度幅広く作るのが良いと思う。
今年はニンニクかタマネギも育ててみようと考えているよ。
“オクラ、夏に向けてグングンと育っています”
“昨年の夏に伺った際はナスの収穫中でした。”
大葉は周年でとれるものですが、どういった栽培スケジュールになるのでしょうか?
3か月に1回くらいのペースで必ず植え替えをしているよ。
ハウスごとに植え替えの時期をずらしたりもしているけども、注文量との兼ね合いが難しくてなかなかスケジュール通りにはいかなかったりするんだよね。
品種はちりめん系のものを作っていて、これは香りが良いのが特徴。
黒点病や黒斑病など病気に弱いという点もあるけれど、有機では農薬を使わないので株間を開けて風通しを良くしたり、窒素分を控えたり、緑肥をいれたりして対策をしている。
自家採種もしているから、だんだんとこの土地の気候などに大葉自体が適した強さを備えてくる。ここ7、8年ひどい病気っていうのはそんなにないね。
“風にサラサラとそよぐ大葉たち”
“大葉の裏側が香りが良い!知ってました?”
大葉をはじめ、有機栽培で気を付けていることはありますか?
基本的には水分調整やこまめな草刈り。
あとは土壌を良くしてくれる微生物や太陽にお任せだね。
土壌を育てるのに米ぬか、もみ殻のほか、光合成細菌、納豆菌なども使う。
菌類が分解を促すことで微生物が増え土壌環境が良くなっていく、これは面白いよ。
有機農業では農薬を使った防除をしない分、淘汰されて強くなった作物も大事にしている。
興味深いのは周りが病害虫にやられているのに一株だけびくともしないって時がある。
病害虫への耐性ができているのか?そこだけ土壌環境が良いのか?
そういう株の種は頂きものだね!
お話を伺っていてとても科学的な側面が有機農業にはあるのだなと改めて知る。
光合成細菌の培養とか、ものすごく難しそうに考えてしまうけれど、ひさまつさんは適当にやっておけばうまくいくのよって笑っていた。
経験やその中から得る勘をもっての適当ですよね!
家庭菜園に応用できるコツなどはありますか?
家庭菜園やるなら絶対在来種が良いと思うな。
F1種だと一斉に成長するのに対し、在来種はバラバラに成長するので、家庭菜園なら在来種を選ぶと良い。その土地の在来種を選ぶのが良いね。
収穫した後は、ジップロックに大葉を入れて水を吹きかけて冷蔵庫に保存する。
とにかく乾かさないことが大切。そうすれば1ヶ月は持ちますよ。
でも香りを楽しむなら新鮮なうちにだね!
大葉を使ったおすすめのレシピはありますか。
んー、やっぱり一番は香りでしょうね。香りがごちそう。
葉の裏に香りのもとになる「油胞」があるので、肉をくるんだりするなら葉の裏を表にして食べると良い。そうすると本当の香りや味を味わうことができるよ!
裏側を表にする!これにはびっくり、、、知らなかった〜さっそく試してみます!
ひさまつさんの大葉を買えるところはありますか。
皆さんが買えるところで言えば、カスミさんに少し出荷しています。
つくば市にいくつかオーガニックの商品をそろえている店舗があるのでそこで見つかるかな。
気に入っていただいてシェフに直接卸したりもしているよ。
“自然体で楽しくお話してくれるひさまつさん”
これから有機農業に挑戦したい方へのメッセージをお願いします!
自然なものを利用して作物ができたら楽しい。
環境を整え自分の王国という圃場を創りあげ、その中の循環で生活できたら本当に楽しいことだと思う。
有機農業は微生物が土壌環境を作ってくれる。その環境を作る手助けをしてあげることが一番大切なことだよ。
“真っ赤に輝くミニトマト!”
今日はたくさん大切なことにふれた気がしました。
その中で感じたのは有機農業は奥が深いってこと。
奥が深いってことが有機農業だけではないと思うけれども、たくさんの制限がある中でさまざまな選択肢を試しその時のベストを見つける。
最後は畑の環境や微生物に任せ手助けをする。
そこで育つ野菜たちはとても元気で、栄養豊富で、安心なものであるに違いない。
そして今日の忘れられない名言は『香りが一番のごちそう』ってこと
有機で育った野菜たちの味だけでなく香りも大切に料理をして楽しみたい!
って思いながら今夜の献立を考えていた僕。
気がつくと再び色とりどりの花たちが優しく見送ってくれていました。
文章・写真・編集/ Masa Hamanoi
Comments