“おふたりにお迎えいただきました!”
花木の栽培って野菜栽培とどう違うの?と、素朴な疑問を持っていました。
年が明け、寒さも厳しくなる中、認定農業者連絡協議会長である小松崎秀昭さんに花木栽培のお話を伺うことができました。
息子さんで同じく認定農業者の良壮さんも温かく迎え入れてくださいました。
花木栽培を始めて何年になりますか?
私はもう41年、ふたりになってからは丸7年になるかな。
ちなみに、父の代から花木栽培は始まっています。その頃はスイカやメロンなど野菜も一通りやっていて、自分の代になって2年後くらいに花卉・花木に絞りましたね。
親父の希望でアンデスメロンを1反だけやったけど、出荷間際に台風の雨にやられちゃって、それが最後だったかな。
秀昭さんは農業経営士としてもご活躍されており、花卉・花木栽培だけでなく、野菜栽培にも詳しいです。お父様の代に経験されていたのですね。
“花木栽培のあれこれを伺わせていただきました。”
花木栽培に切り替えたきっかけは何ですか?
もともとこの辺りは蚕の産地だったんですよ。私が小さいときに親父も桑苗を作っていました。
桑苗を作る際の挿し木の技術があったのと、当時親父の叔母が花木栽培をやっていて、花木に切り替えた方がいいんじゃないかって助言をもらったところから始まり、少しずつ切り替えていきましたね。今は花木は3町弱です。その他に、ソバを1町5反やっています。
何種類の品種を栽培していますか?
多分25種類くらいじゃないかな、、、自分では数えたことがないですね(笑)
多く栽培している種類としては、ヒバ、サワラ、コニファー、など。
あとは、ツツジもありますね。
“春を待つ花木の苗木”
品種によって栽培の難易度に差はあるのですか。
念入りな消毒が必要な品種など、苦労するものもあります。
新芽を食べてしまうハマキムシや、ネグサレセンチュウの防除が必要。
特にツツジはネグサレセンチュウ防除のため、念入りに土壌消毒が大切ですね。
“葉っぱの様子を伺います。”
野菜栽培と同様で、花木栽培にも連作障害はあります。
こちらも土壌消毒をしたり緑肥を使ったりして対策しています。
土の状態も植木によって土質や水分量など好みが異なることもある。
排水対策には特に気を使う必要があってうちの自宅周りの畑は暗渠を入れてあります。
借りている畑では暗渠は入れられないので、去年の線状降水帯の長雨の際にはそこに植えていたサワラは排水ができず、9割くらい枯れてしまいました。
暗渠を入れているうちの畑は1週間ほどで入ることができましたが、この畑は水浸しになり3週間近く畑に入ることができませんでしたね。
根腐れは植木が大きくなってもきちんと管理しないと葉が黄色くなってしまうなど、影響が出てしまうものですから、年中排水対策は必須です。
花木栽培の中で一番気を付けているところは水管理かな。
雨が降れば下から抜く、乾けば上から水かける、これを徹底しています。
シンプルなようで塩梅が難しかったりもするんです。
“さまざまな花木の種類を伺うのが楽しい!”
花木と野菜とは生育速度に差があると思います。どういった栽培スケジュールになるのでしょうか?
野菜は3、4か月で収穫できますが、花木は植え始めてから出荷するまでに最低でも2年、長いものだと10年必要になります。時間をかけて育てます。
野菜のように種苗を買う必要はないから、資材代に関しては低くおさえられるかな。
年間の作業で考えると、基本的には既に植えてあるものを植え替えしていくことになります。植木の大きさによって植える間隔なども変わってくるため、少しづつ広いところへ場所を変えて植え直していきます。
花木はどういったところに出荷するのですか?
うちはほとんど問屋です。
通年出荷ではありますが、年度末に出荷が多くなります。
最近の需要としては、建物が洋風化していることから、常緑ヤマボウシやコニファー(エメラルド、ヨーロッパゴールド、グリーンコーンなど)といった洋風な雑木の需要が多いです
“どんなストーリーを木々たちは紡いでいくのか想像してしまいました。”
花木栽培ならではのお話をたくさん聞かせていただき、その後、自宅周りの畑も案内してくださいました。
根っこを大切に麻布でくるんで出荷待ちの花木たちの姿がなんだか可愛らしかったですね。
花木は手間暇かけて育て巣立っていく、そして新たな場所でまた時間をかけて育っていく。
その花木には緑が繁り人々の心を癒すんだろうなあと、少し先の未来を想像して心が温かくなりました。
文章・写真・編集/ Masa Hamanoi
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