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ここから始まった。阿見町のそばストーリー


秋の始まりの頃、阿見町を車で走っているとそばの白い可愛い花がたくさん咲いていることに気がついた。

それもそのはず、阿見町ではこの10年くらいでそばの生産量が格段に増えてきているとのこと。


秋の終わり、気持ち良い晴れの日に阿見町におけるそば生産のパイオニアであるという齊藤正義さんの畑を訪れた。



“秋晴れの畑は気持ちよい!”



そばの実にもいろんな色がある



齊藤さんの育てているそばの品種・特徴を教えてください!


常陸秋そばを現在23ヘクタールくらい作付けしています。

この品種は粒が大きく、風味が良く食味バランスも大変優れています。

また、常陸秋そばブランドを守るため、町内ではこの品種以外作付けできません。交雑を防ぐためです。


栽培スケジュールとしては8月のお盆過ぎから25,26日くらいまでに種をまき、11月頃に刈り取りですね。

今日みたいに気持ちよく晴れているとそばの実がよく乾いてくれて収穫もしやすい。

そして今年は天候が良く、台風の被害もなかったので収量も豊富だね。


齊藤さんはお話ししながら嬉しそうに刈り取りを見つめていた。



齊藤さんはチャレンジ精神の人なのだと感じた



阿見町のそば生産のパイオニア


阿見町におけるそば生産は齊藤さんが始められたとお聞きしました、その経緯などを教えてください。


当時は、町内のそば打ち同好会が自身で使用する分のそばを個々に生産していてね。

そんな中、耕作放棄地対策の一環として、茨城大学の学生と共に試験的に0.1ヘクタールのそばの生産・出荷を行ったことがきっかけ。確か平成25年頃だったかな。


2年目にはそばの刈り取りに使用する汎用コンバイン(1台で稲、麦、そば、大豆など多くの作物の刈り取りに対応できるコンバイン)などを隣の美浦村から借りたりしていて、でもさすがにずっと借りるのもあれでしょ、その後私も汎用コンバインを購入して取り組み面積を広げることができたんだよね。


そば作付け農家も最初は齊藤さんおひとりだったのが、令和元年には22名となり面積も80ヘクタールを超えている。

こうした取り組みが認められ「全国そば優良生産表彰」において「全国農業協同組合中央会会長賞」という名誉ある賞を受賞されている。


おっ、、、いつの間にかコンバインにのぼって作業されている齊藤さんに気がついた。

聞いてみると機械をいろいろ試していたら壊してしまったらしい、、、。

現場はこんなもんだよ。いろいろ試さないとね!となんだか嬉しそう。


さすがのパイオニア精神。お話し伺っていると自然と背筋が伸びます!



小気味よく働くコンバイン!



天候に左右されるそば作り


そばは土壌が肥沃でなくても大体どこでも作れます。

生育も早いし、他の雑草よりも早く伸びるから雑草に負けることもない。


ただ天候の影響を受けやすい作物でもあるので、厳しい年もあった。

生育時期がちょうど台風の時期と重なるからね。

台風で落ちた実を拾うのは難しいよ!今年は本当に天候に恵まれたね。



“粒の大きい常陸秋そば”



“皮を剥くと透き通るような色をしているそばの実”



“そばの茎ってストローみたい!”



そば作りの工夫と楽しみ


そば取り組みを始めて10年くらい、ここ1,2年でようやくわかったことが、肥料を控えてはダメなこと。

うちではそばの裏作にじゃがいもを取り入れていて、収穫後のじゃがいも自体が良い緑肥となることと、じゃがいも作付けの段階で肥料を少し多めにやることで、じゃがいもが肥料を吸い上げてくれてほどよく栄養分が残る。

そうすればそば作りに対しては無肥料で準備が行えることがわかり、より効率的に作付ができるようになってきたかな。


もうひとつは工夫というか、趣味というか。

うちのそば畑では、花の交配のためミツバチを飼っているんだよね、ハチミツも手に入るのが楽しみのひとつかな。


今はちょうどそばの独特な花の香りがしてね。これを毎朝コーヒーに入れて飲むのが日課なんだよね。


なるほど!忙しい齊藤さんの健康の秘訣はこれだ!と頷いた。

それにしても季節の香りを楽しむハチミツコーヒーで一日を始めるって素敵だなあ。



色濃く透き通るハチミツ!



石うす挽きがオススメです!


齊藤さんはどんなそばの食べ方が好きなのだろう?と伺ってみた。


一番好きな食べ方ね、それは石うすでひいて手打ちの十割そばがやはり最高だよね。

少し粒感が残って食感も良い。

阿見町内のそば屋さんでも色々な美味しい常陸秋そばが食べられるので嬉しいよね。



そろそろお昼ですね



“コンバインからどんどんでてくるそばの実”



齊藤さんから今後新たにそば作付けに参入する方へのメッセージ!


そばは収量がとれないため、国等の補助金と組み合わせて取り組まないと採算が合いません。作付面積もまとまった広さがあった方が良く、そしてまとまった面積を効率的に作業できる汎用コンバインなどの機械の導入も必要。などある程度の準備が必要かな。

これらの準備が整えば、栽培自体は難しくはないですよ。



畑を訪れるたびにその面白さに引き込まれます。



12月17日(土)からは町内のそば屋でも新そばが始まる。

そばにまつわるお話をいろいろ聞いた後でもあるし、今年の新そばは一味違ったものになりそうな気がする。


たったひとりから始まった阿見町のそばストーリーはまだまだこれから。

いや、ここからがますます面白そうだ!



“白くて可愛いそばの花”



写真&文章/Masa Hamanoi



《常陸秋そばそばまつり情報(観光いばらき)》


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